歳を重ねるにつれ、親子関係と同様に友人関係についてもいろいろと考えさせられる機会が増えてきました。
私には、困ったときや大変なときに的確な助言をくれたり、手を差し伸べてくれたりする大切な友人がいました。
旅行が好きな彼女は、プランニングが得意で、素敵な旅に誘ってくれては、楽しい思い出を作ってくれました。退職後は時間にも余裕ができ、これからもいろいろな所へ出かけるのを楽しみにしていました。
ある時、彼女が新しい旅の計画を立ててくれました。それは、プランも旅費もかなり大きな企画でした。
実は私が行きたいとプッシュして、彼女が一生懸命計画を立ててくれたものでした。私の行きたい場所や食べたいものを中心に、細やかな配慮が込められた旅程でした。
すごく感謝して、旅の準備を嬉々として整えていた矢先、息子に問題が起きました。
息子が辛い状況にいるときに、心から旅を楽しめるだろうか。何もできないかもしれないけれど、在宅していれば何か役に立てるかもしれない。息子が苦しむことは、自分が苦しむこと以上に辛いものです。
そんな心配を抱えながらの旅行は難しいと感じました。
友人に相談し、彼女が私の立場だったらどうするかも聞いてみました。しかし彼女は多くを語らず、「人それぞれの考え方があるから、自分で判断してね」と言うだけでした。
悩んだ末、私は旅行をキャンセルすることを決めました。彼女には心から謝罪しました。「気にしないで」という言葉の後、彼女は私との関係を絶ちました。
それほど大きな怒りを買うことをしてしまったのです。
キャンセルしたこと自体はもちろんですが、相談や謝罪の過程で、私に許しがたい言動があったのかもしれません。
結果的に、私が旅行に行っても行かなくても、息子の問題には大きな影響はありませんでした。
ただ、もし旅行に行って「あのとき行かなければよかった」という後悔だけはしたくなかったので、行けばよかったとは思いません。
しかし、その選択で一人の大切な友人を失うことになりました。彼女は、私の判断や言動によって、とても傷ついたことと思います。本当に申し訳なく思っています。
また一方で、息子のことと言えど、私自身も悩み苦しみました。そんなとき、相談に乗って励ましてくれた友人たちもいました。
60代になり、二人の息子たちには依存せず生きていけるようになりたいと決意しました。
そして、より一層友人のありがたみ、大切さを感じている今日この頃です。
皆さんの中にも、似たような経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
親としての判断、一人の人間としての判断、その選択に迷うとき。そんなとき、私たちには友人の存在が必要です。
たとえ意見が分かれることがあっても、その存在自体が大きな支えになります。
これからも感謝の気持ちを忘れず、大切な友人との関係を育んでいきたいと思います。