伝統と実用性が融合した南部鉄器。皆さんはこの日本の伝統工芸品を日常で使われたことはありますか?
以前のブログ「南部鉄瓶が変える日常~さゆがおいしく摂れる伝統工芸品の実力~」では南部鉄瓶の魅力についてお伝えしましたが、今回はもう一つの逸品「鉄フライパン」、特に「ダクタイルディープパン」に焦点を当ててご紹介します。
鉄フライパンに興味をお持ちの方、長く愛用するためのお手入れ方法を知りたい方、そして料理の腕を一段上げたいと考えている方に、このレビューがお役に立てれば幸いです。
鉄フライパンとの出会い
長年愛用していたフッ素加工のフライパンも、いつしか表面が変色し、コーティングが剥がれ始めました。「そろそろ買い替え時かな」と考えていた矢先のことです。
南部鉄瓶を探していた私の目に、ふと岩鉄鉄器のダクタイルパンという鉄フライパンの存在が飛び込んできました。
鉄瓶の情報を調べる中で、この鋳鉄製フライパンの特徴を知るにつれ、その本格的な調理道具としての魅力にどんどん惹かれていったのです。
私が選んだダクタイルディープパン
価格:18,150円(税込)
岩鉄鉄器が製造するダクタイルディープパンは、深型の鋳鉄製フライパンです。上部直径24cm、底面直径16cm、深さ7cmという絶妙なサイズ感で、重さは約1kgと扱いやすい設計になっています。
鋳鉄の優れた熱伝導率を活かしたこのフライパンは、焼く、炒める、煮るといった調理法を問わず使える万能選手。日々の料理の可能性を広げてくれます。
同シリーズには浅型のタイプも用意されていますが、「1つだけ持つなら深さのあるディープパンが断然おすすめ」というユーザーレビューが目立ちました。様々な料理に対応できる汎用性の高さから、私もディープパンを選択しました。




人気商品のため品薄状態が続いているようで、注文から配送まで1ヶ月半ほど待ちましたが、その価値は十分にありました。
ダクタイルディープパンの特徴
- 深型:煮込み料理や揚げ物にも対応可能。
- 鋳鉄製:熱伝導率が高く、食材を均一に熱し、美味しく仕上がる。
- 軽い:鋳物フライパンのなかでも軽いので、扱いやすい。
- 錆びにくい:窒化酸化加工により、錆びにくく、メンテナンスが楽。
- 焦げつきにくい:表面に凹凸が残った仕上げにより、油がなじみやすく、油量が少なくても焦げ付きにくい。
- 熱ムラが少ない:底面直径が広いので、熱ムラが少なく、食材を均一に焼ける。
- IH対応:IHだけでなく、ガス、シーズヒーター、ラジエントヒーターなどでも使用できる。
実際に使用してみて
使い始めの失敗
使用開始時のポイント(商品添付の説明書より)
- 洗剤を付けたタワシで全体を洗い、ほこりをきれいに洗い流す。
- 中火で2~3分予熱し、うっすら煙が出てきたら弱火にして大さじ3杯程度の油を投入。全体に油をなじませるように5分ほどかけて広げる。しっかり油をなじませることで、食材がくっつきにくくなる。
- 火を止め、キッチンペーパーで油を調理面全体に塗り込むように拭き取る。
※洗剤を使用するのは最初のこの1回のみ。ただし、汚れが気になる場合は再び手順2と3を行う。
私は、商品到着前に、YouTubeで使い方やメンテナンス方法を予習していました。その際、使い始めの油ならし作業でモクモクと煙が立ち上る様子が強く印象に残っていました。
しかし、実際に手順2でIHの中火で加熱しても、なかなか煙が出ません。手をかざしてもそれほど熱く感じず、「おかしいな」と思いながら5分ほど加熱を続けてしまいました。
煙が出ないのであきらめて試しに油を入れたところ、一気にモクモクと大量の煙が発生して驚きました。私が記憶していた煙の光景は、この油投入時のものだったのかもしれません。
後で説明書を詳しく読み返すと、「さび止め塗装をしていないため、高温での空焚きによるシーズニングは不要」と記載されていました。
私は、普段から電化製品の取扱説明書をしっかり読まない悪い癖があり、今回も予熱時間が長すぎるという失敗をしてしまいました。
この失敗により、フライパン外側の底部分が花柄のように白く変色してしまいました。おそらくIHの熱源が当たっていた部分だと思われます。
幸い、岩鉄鉄器さんのWebサイトに底の白い変色に対するお手入れ方法が掲載されていました。
鋳物フライパンが白く変色した時のお手入れ方法を解説します。
弊社商品は製造上、研磨痕などが残る場合もあり、見た目を整えるため食品衛生法に適合した処理を行っており耐熱温度を超えると白く変色する場合がございます(人体には無害なものですのでご安心ください)。白くなった部分が気になる方は食用油をキッチンペーパーに馴染ませ、白くなった部分に塗り込み、使用を重ねますと徐々に黒くなっていきます(個人差がございます)。(岩鉄鉄器公式HPより引用)

説明通り、油を塗り使用を重ねた現在、底の白い部分は徐々に目立たなくなってきています。
最初は気になっていましたが、使えば使うほど馴染んでくる鉄フライパンの特性を実感しています。

IH対応でも…カセットコンロで使用
先ほどの失敗体験から、IHでの使用に不安を感じるようになりました。
実際に説明書を確認すると、IH調理器具での使用における注意点が11項目も記載されており、その詳細さに驚きました。
特に印象的だったのは、「部分的に加熱するIHの特性上、熱源に当たる部分だけが焦げやすくなります。そのため、鍋の位置をこまめに変えたり、一度加熱を止めて同じ箇所の温度上昇を防ぐなどの工夫が必要です」という注意書きでした。
この内容を読んで、ガス火の方が火加減を目で確認でき、より直感的で安心して調理できると感じました。そこで現在は、調理台にカセットコンロを設置して、このフライパンを使用しています。
ダクタイルパンを使って調理をするのが楽しいので、カセットコンロを設置する一手間は苦になりません。
ただし、YouTubeなどではIHで上手に調理されている方も多く見かけます。おそらく最初の失敗がなければ、私もIHで使い続けていたかもしれません。
軽いけれど調理時の重さに注意
鉄フライパンは一般的に重いものですが、ダグタイルディープパンは鋳物フライパンの中では比較的軽い部類に入ります。
それでも、食材を入れて調理した後は結構な重量になり、通常の持ち方では器に盛り付けるのが難しいと感じました。
この問題を解決するために、取っ手を逆手に持ち、取っ手を垂直方向に立てるように持つ方法を試してみました。
すると、重さをかなり軽減でき、食材を器に上手に盛ることができるようになりました。このちょっとしたコツは、日々の調理をより快適にしてくれます。


焦げ付かない工夫
焦げ付きの主な原因は「使用前の予熱不足」と「調理時の温度が高温過ぎること」にあります。
私は以下の手順で、調理しています。
- まず中火で約1分間、軽く煙が出るくらいまで空焼きします。これは食材の水分を素早く飛ばして焦げ付きを防ぐための重要なステップです。
- 一度火を止め、10秒ほどフライパンの温度を下げてから油を注ぎ、全体になじませます。
- 再び中火にして食材を投入します。
YouTubeには鉄フライパンの焦げ付き対策や調理法を紹介する動画が豊富にあります。
私自身、チャーハンや卵料理は上手く調理できましたが、焼きそばは2回連続で焦げ付かせてしまいました。そこで参考にしたYouTube動画のアドバイスが非常に役立ちました。
焼きそば成功のコツは「麺は予熱してから投入すること」と「麺を入れたらすぐにかき混ぜないこと」です。冷たい麺を入れるとフライパンの温度が急激に下がり、焦げ付きの原因になります。
参考:YouTube【鉄フライパン】くっつかない焼きそばの焼き方 ~ 前編 ~
取っ手が熱くならない
ダクタイルパンの優れた特徴の一つが、取っ手の熱対策です。
取っ手と本体の接続部分に設けられた隙間が放熱効果を発揮し、熱が取っ手まで伝わりにくい構造になっています。
そのため、調理中でも素手で取っ手を握ることができ、耐熱ミトンが不要という実用性の高さが大きな魅力です。
高温での長時間調理では多少の熱さを感じることもありますが、一般的な炒め物や焼き物であれば全く問題ありません。
さらに、本体と取っ手が一体成型されており、接続部分にネジなどの部品がないため、見た目がスッキリとしているだけでなく、衛生面でも安心できる点が気に入っています。

お手入れ方法
使用後は洗剤をなるべく使わず、お湯とタワシで洗うのが基本です。
ダクタイルディープパンの便利な点は、使用後にお湯を張って汚れを浮かせてから洗えることです。焼きそばを焦げ付かせた際も、この方法で簡単に汚れを落とすことができました。
一般的な鉄フライパンは使用後すぐに洗わないと錆びやすいものもありますが、この点もダクタイルディープパンの優れた特性の一つです。
また、洗浄後は軽く拭いて乾かすだけでOK。他の鉄フライパンでよくある「加熱して水分を飛ばす」という手間も必要ありません。

このように、ダクタイルディープパンはメンテナンスの簡便さも大きな魅力です。
※下記の商品ページは楽天市場のみ有効です。(私もこちらから購入しました。)

まとめ
フッ素加工のフライパンは、長期間使用すると加工が剥がれてくるため、ある意味消耗品と言えます。
対して鉄のフライパンは、使えば使うほど艶が増し、味わい深くなっていきます。南部鉄器のように、自分だけの一品として育てる楽しみがあります。
さらに、調理中に自然と鉄分を摂取できる健康面のメリットもあります。

ダクタイルディープパンで、ぜひ鉄フライパンの魅力を体験してみてください。