みなさんは、捨て活をしていらっしゃいますか?
私が捨て活を始めたのは、昨年の夏、白内障の手術を終えてからです。メガネなしで生活できるようになり、お風呂場の隅々が見える、物の上のほこりまでくっきり見える—そんな新しい視界で我が家を見渡してハッとしました。「あれ?こんなに物が多かったかしら?」
同世代の友人の中には「うちはもう、要らない物は処分して随分すっきりしたのよ」という人も。でも私の家は・・・。このまま放っておいたら、いずれ残された家族に迷惑をかけることになりそう。
そんなわけで、62歳にして初めての「捨て活」を始めることにしました。何を残して、何を手放すか。正直、まだまだ試行錯誤の毎日です。
完璧を目指さず、焦らず、でも着実に―。同じような思いを抱える同世代の皆さんに、等身大の捨て活体験をお伝えできればと思います。
なぜ今、捨て活を始めたのか
時代の空気を感じて
最近、書籍でもメディアでも「捨て活」「終活」という言葉を見聞きする機会が増えています。
同世代の間でも、よく話題に上がるようになりました。他人事のように感じていたそれらの言葉が、急に身近なものとして心に響くようになってきました。
焦りと決意
捨て活を思い立ったとき、試しに、クローゼットから着なくなったコートやセーターなど、冬物のかさばる物をごみ袋で3袋分捨ててみました。
すると、3袋でも重い!!すぐ近くのごみ集積所に運ぶのもたいへんでした。足腰が動くうちに、気力があるうちにやらないと・・・。そんな焦りにも似た気持ちが湧いてきました。
一人暮らしになって久しいですが、気力体力の衰えを感じることが多くなってきた今、改めて自分のくらしを見つめ直す時期なのかもしれません。
親の家という課題
親の家の整理は、まだ経験していません。でも、近い将来必ずやってくるその問題に、少なからず不安を感じています。
物の処分だけでなく、家の解体や売却など、大きな決断を迫られることになるでしょう。
実際に親の家の処分を経験した友人から、「早めに準備しておいて良かった」という話を聞きました。その友人からは信頼できる回収業者を紹介してもらうなど、貴重な情報も得ることができました。
同世代とのつながり
同じ世代の友人たちとの何気ない会話が、時として大きな支えになります。共通の悩みを持つ者同士、情報交換をしながら励まし合える関係は本当に心強いものです。
完璧を目指すのではなく、自分のペースで、でも着実に進めていこう―。
そのように決意をした私の捨て活は、使わなくなった大型家具の処分から始まりました。
家具を手放す
捨て活を始めてまず取り組んだのは、家具の処分でした。自分の力では片付けるのが難しい大きな物から手放せば、後が楽になるだろうと考えたからです。
処分する家具と向き合う
2階には息子たちが使っていた学習机2台とベッド2台。学習机には、息子たちが受験勉強に励んでいた姿が目に浮かびます。
「息子たちが使っていたもの」という思いから、処分を躊躇する気持ちも沸いてきました。
1階には食卓セット。かつては家族団らんで食事をした思い出の詰まった場所です。しかし、息子たちの独立後は、ただ物を置くスペースと化していました。
迷いましたが、これらの大きな家具をそのまま残しておく方が、むしろ息子たちの将来の負担になるのではないか。そう考えたことで、処分する決心がつきました。
信頼できる業者との出会い
実家の処分を経験した友人から「とても良心的な業者さんがいるのよ」と教えてもらい、見積もりの依頼を入れてみました。見積もりでは、予想よりもお安い金額が提示され,ホッとしたのを覚えています。
「お友達からのご紹介で」と伝えると、業者さんはとても喜んでくれました。その後の丁寧な対応からは、紹介ということで一層気持ちを込めて仕事をしてくださっているのが伝わってきました。
処分当日の様子
当日、作業員の方々は時間通りに到着。
学習机、ベッド、食卓セットと、大量の家具の搬出でしたが、手際よく作業を進めてくれました。
事前に見積もりをお願いしていた家具以外にも、「これも一緒に持っていってもらえますか?」と急な追加をお願いしたのですが、「大丈夫ですよ」と快く引き受けてくれました。
追加料金も発生せず、予想以上にスムーズな処分ができたのです。
実は、一番処分に困っていたのが殺虫剤のスプレー缶2本。自治体の回収に出すには、中のガスを全て抜かなくてはいけません。でもガスの残量は2本ともたっぷり・・・
自力でガス抜きするのをためらい、数年持ち続けていた物を、ダメ元でお願いしたら、快く引き取ってくれました!
業者選びで重視したポイント
明確な見積もり、担当者の人柄、そして良心的な料金。この三つが揃っていたことで、安心して依頼することができました。
実際、学習机2台、キャスター付き椅子2脚、ベッド2台、食卓セット、掃除機、加湿器などの小型家電に加え、カラーボックス数個、、衣装ケース数個、6畳用カーペットなど、小型トラック一台分の処分で26,000円。
これだけの量の処分にしては良心的な価格だと感じました。友人からの紹介という信頼関係が、さらに良い仕事につながったのだと思います。
次回も必要なときは、迷わずこの業者さんにお願いしようと思っています。
処分を終えて
大型家具の処分を終えて、部屋の中がすっきりとした時の爽快感は忘れられません。
同時に、「やればできる」という小さな自信にもつながりました。しかし、これは捨て活の入り口に過ぎません。
次に待ち受けていたのは、もっと厄介な課題。思い出の品々との向き合い方でした。
思い出の品との向き合い方
息子たちからのプレゼント
大型家具の処分で自信がついた矢先、次の課題が待っていました。
それは、息子たちからもらったプレゼントとの向き合い方です。誕生日や母の日に贈ってくれた小物たち。一つ一つに息子たちの優しい気持ちが込められています。
これらは迷うことなく、死ぬまで大切に手元に置いておくことに決めました。
物の整理は、時として「残す決断」も必要なのだと気づかされました。
成人式の着物
成人式で着た振り袖。親が大切な節目に買ってくれた特別な着物です。私は息子が二人なので、娘に着せるという夢は自然と消えましたが、それでも手放す気持ちにはなれませんでした。
二十歳の晴れ姿を包んだこの振り袖には、親への感謝の気持ちと、人生の大切な節目の思い出が詰まっています。
だからこそ、この振り袖だけは特別な思い出として、これからもタンスで大切にしまっておこうと思います。
横綱級の思い出の品々~写真アルバムとVHSテープの整理~
誰もが避けて通れない思い出の品の整理。特に私が頭を悩ませているのが、大量の写真アルバムとVHSテープです。長年、目を背けてきた鬼門とも言える存在です。
写真のデジタル化という選択肢も耳にしますが、まずは大量にある写真を選別し、それから一枚一枚をスキャンしていく作業を想像すると、正直なところ気が遠くなります。
VHSテープと言えば、息子たちの赤ちゃんから幼児期の成長記録が詰まった宝物です。同世代の方々なら、このVHSテープという言葉に懐かしさを感じていただけるのではないでしょうか。
友人の一人は、カメラのキタムラでデジタル化を済ませたと聞きました。私は気になりながらも、ずっと先送りにしてきました。2025年頃にはテープが劣化して見られなくなるという話を聞いていたのです。そもそも再生機器のVHSデッキはもう手元になく、新品を購入することもできません。
そして、その2025年を迎えた今、改めてデジタル化について考え直してみました。業者に依頼した場合の費用を調べてみると、かなりの幅があることが分かりました。費用について分かりやすくまとめているブログがありましたので、リンクを貼っておきます。
ただ、正直な気持ちを言えば、デジタル化にかかる費用を考えると躊躇してしまいます。そもそも、全てデジタル化して保存したとして、本当にそれを見返す機会があるのでしょうか。息子たちは興味を持って見てくれるのでしょうか。
「デジタル化さえすれば安心」という考えに、どこか違和感を覚えます。
過去の記録を残すためにお金をかけるより、今を大切に、そして将来に向けて投資する方が賢明なのではないか―そんな結論に至りました。
だからこそ、写真には特別な思い入れが湧いてきます。息子たちは「要らない」とあっさり言うかもしれませんが…。
結局のところ、写真アルバムについては、まだ明確な決断ができないでいます。一枚一枚に詰まった思い出と向き合いながら、しばらくは大切に保管を続けようと思います。
写真、どうしよう・・・答えが見つかりません。
衣類の整理で気づいたこと
クローゼットの整理を始めると、ずっと着ていない服がこんなにあったのかと驚きました。特に「いつか着るかもしれない」と取っておいた服の多さに気づかされました。
整理していく中で、自分の好みや生活スタイルの変化にも気づきました。若い頃に着ていた丈の短いスカート、退職後はほとんど着る機会がないスーツなど。それぞれの服には、その時々の私の姿が映し出されているようでした。
衣類の整理では、メルカリでの出品も試みました。
しかし、人気ブランドではない衣類は、売れても数百円程度の売り上げにしかならないことも多く、写真撮影・出品・梱包・発送する手間を考えると、割に合わないということが分かりました。
メルカリに慣れてきた今では、手間と売り上げのバランスを考えて、出品するか捨てるかを判断しています。捨て活とメルカリの2刀流については、こちらの記事をご覧ください。
「60代からのゆっくりメルカリチャレンジ|4ヶ月で20万円達成した私の始め方講座」
残すことと手放すことの間で
思い出の品との向き合いは、想像以上に心の揺れを伴うものでした。完璧を求めず、一つ一つの品と丁寧に向き合いながら、自分なりの判断を重ねています。
時には「残す」という選択も、時には「迷いながらも手放す」という決断も、どちらも自分らしい整理の形。
捨て活で得た気づき
どこから始めるか
大型家具の処分から始めたことは、結果的に正解でした。はっきり見える形での成果が得られたことで、小さな自信となり、次への一歩を踏み出す勇気になりました。
※後で紹介する書籍では、「断捨離はどこから始めても正解」とあります。
一方で、息子たちからのプレゼントや写真アルバムなど、思い出の品と向き合うことには、時間とエネルギーを要することも分かりました。
最後まで結論が出ないかもしれませんが、時間をかけて丁寧に向き合い、検討していくしかないかなと思っています。同世代の友人たちから、またよいアイデアやアドバイスが得られるかもしれません。
「完璧」を手放す
最初は「すべてをキレイに整理しなければ」という思いがありました。
しかし、息子たちからのプレゼントや振り袖を残すことを決めたように、自分にとって本当に大切なものを見極め、それを素直に受け入れることも、捨て活の一つの形だと思うと、少し気持ちが楽になりました。
言いわけOKの捨て活でもいいかも。
同世代の存在の大切さ
同世代の友人たちの存在は、本当に心強いものだと実感しています。
信頼できる業者さんを紹介してもらったことはもちろん、「うちもそうよ」「私もまだよ」という何気ない会話が励みになります。
お互いの経験を共有しながら、それぞれのペースで進んでいける。そんな仲間の存在が、焦りを和らげてくれているように思います。
体力と相談しながら
足腰が動くうちにという思いは変わりませんが、一度に無理をしすぎないことも学びました。
大型家具の処分の時も、自分の力では無理なことは業者さんに任せました。大きい物、重い物の処分は怪我のリスクもあります。
業者さんに依頼すると当然費用はかかりますが、自分の安全と健康を守るための必要経費と割り切ることも必要だと思います。
心の整理
物を手放すことは、同時に心の整理でもあります。息子たちが使っていた学習机を処分する時、毎日宿題を見てあげた思い出、試験前に夜遅くまで勉強していた姿が蘇り、込み上げるものがありました。
でも、新しい暮らしのために決断したことで、一つの区切りが付いたように、心が軽くなったのも事実です。
息子たちはもう大人になり、それぞれの場所で頑張っている。物の整理は、そんな現実を優しく受け入れ、新しい段階に進むための儀式のようなものかもしれません。
次のステップに向けて
これからの課題
大型家具の処分という大きな一歩を踏み出し、思い出の品との向き合い方も、じっくり考えることができました。
しかし、クローゼット、靴棚、生活雑貨の収納スペース、書籍類・・・まだまだ取り組むべき所は多く残っています。
また、これから向き合うことになるであろう親の家の整理という大きな課題もあります。
何事も継続すること
昨年62歳になってから、私は三つの新しいことに挑戦し始めました。捨て活、メルカリ、そしてブログです。
しかし、私は1点集中型の性格。これら三つを並行して進めることの難しさを実感しています。
ブログを始めてからは、ブログに全力投球。2ヶ月ほどは捨て活もメルカリも、かなり停滞気味でした。メルカリは出品が滞るようになってから、売れるペースがガクンと落ちました。こまめに出品することが大切なんですね。
「気力体力のある今のうちに進めよう」と決めていた捨て活が後回しになっている現状に、このままではいけないと一念発起。新しい刺激を求めて書店へ足を運びました。
そこで出会ったやましたひでこ著『人生が変わる1日1つ断捨離』は、停滞していた私の背中を優しく押してくれる本でした。
【本書の特徴】
- 日々の暮らしに寄り添った実践的なアドバイス
- 各ページに心に刺さる名言が散りばめられている・・・(例)人生の主役は「自分」、「モノ」じゃない。自分の買い物の失敗を許してあげる。「使うかも」のカモグッズは追放、「使いたい」はウエルカム。等多数
- 一日一つという、無理のない取り組み方の提案・・・「一日一つ断捨離チェックリスト」
- 捨てるか否かの判断基準の提示・・・「捨てる判断ができるようになる魔法のリスト」
- 物を手放す際の心得と、それが心に与える前向きな効果について分かりやすく解説
- シニア世代にも共感できる具体的な事例
読み進めるうちに、「捨て活」と「メルカリ」の二刀流を続けていこうという意欲が高まりました。気力と体力のある今のうちに、と焦る気持ちもありますが、無理のない範囲で一日30分~1時間、この作業に向き合っていこうと決めました。
「継続は力なり」ですね。
この本のAmazonの商品ページはこちらです。
新しい暮らしのかたち
処分した大きな食卓セットの代わりに、テレビの前に置いているシンプルな1人用のテーブルで、好きなYouTubeや映画を観ながら、ゆっくり食事をとる。
他の方に使っていただけそうな価値ある物は、メルカリに出品するための準備にじっくり取り組んだり、売れた物を丁寧に梱包し発送したりする。
そんな時間に余裕を持った新しい暮らし方も、今では心地よく感じられます。
これからの終活に向けて
捨て活は、終活の第一歩でもあります。今回の経験を通じて、「残すもの」と「手放すもの」を決める基準が、少しずつ見えてきました。
息子たちへの思いを込めながらも、必要以上の負担をかけない準備を、これからも進めていきたいと思います。
おわりに
捨て活に正解はないのだと思います。成人式の振り袖を残すことに決めたように、思い出の品は大切に残してもいい。
でも、将来の家族への負担を考えて、必要のないものは勇気を持って手放す。その判断は、一人一人違って当たり前です。
大切なのは、無理なく、自分のペースで進めること。同世代の仲間との何気ない会話に支えられながら、時には立ち止まり、時には前に進む。そんな緩やかな捨て活の旅を、皆さんも始めてみませんか?
完璧を目指さず、でも一歩一歩。この記事が、同じような思いを抱える方々の小さな後押しになれば嬉しく思います。